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凛は鞄を肩に掛けると少し早足で階段を降りてゆく。
…と。凛は、二階の踊り場へ降りたところで足を止めた。
夕陽が射し込む階段の踊り場に、彼は立っていた。
陽が射し込んでいるせいか、彼の染められた髪は琥珀色に光って見えた。
凛が一番に目をひいたのはその色だった。
「よ。スケッチタイムは終わり?」
そこにいたのはクラスメイトの三枝渉である。
彼はいつもの人懐っこい笑みを凛に向けていた。
琥珀色に照らされた茶髪。
だらんと下げて履いたズボンにボタンが外れた学ラン。
制服の着こなしからも、いい加減そうに見える。
…なぜ彼がここにいるんだろう。
凛は状況がわからずに突然現れた渉を見つめた。
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