放課後の空

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「…待てよっ。逃げなくたっていーじゃん。俺、中島の描いた絵見てみたいんだよ」 「これから、塾があるから」 凛が構わずに歩きだすと渉はなぜか追い掛けてきた。 「あ、塾かぁ。それは大変だよな…ってそうじゃなくって、待てってば」 昇降口のある階に降り立つと凛は渉のほうを振り向いた。 彼はちょっと拗ねたような表情でこっちを見ている。 「なぜ…わたしの絵が見たいの?」 凛は渉に問い掛ける。 「…え?」 「さっき、わたしの絵が見たいって言ったから」 その理由だけは気になった。 渉が自分の絵を見たいと言った理由が。 「…空の絵」 「え…?」 凛は渉の言った言葉に首を傾げた。 と。渉はズボンのポケットに手を突っ込んで何かを取り出した。 「これ、拾ったんだよ。昼休みに」 そう言って渉が出したのは凛がいつしか描いた―…空の絵だった。
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