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――放課後。
一時間後に塾が待ち構えていると思うと少し憂鬱だったが、凛は何よりもこの時間がすきだった。
中学三年生になり、クラスメイトたちも受験を本格的に意識するようになった。
もちろん、凛もその一人だ。
けれど高校なんて何処でも良かった。特に上を目指すつもりもない。
それでも、母親は凛を勉強へ専念させるために塾へと入れた。
『いつまでも絵ばかり描いていられるわけじゃないのよ。凛は画家にでもなるつもり?たまには、現実を見なさい。』
――現実。
母がよく口にする言葉だ。
そして目の前に見え始めたのが高校受験という壁。
その先に待つ未来。
いつも目に見えないものは怖かった。
受験を乗り越えて…いったい何がその先に待っているんだろう。
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