放課後の空

2/11
前へ
/272ページ
次へ
――放課後。 一時間後に塾が待ち構えていると思うと少し憂鬱だったが、凛は何よりもこの時間がすきだった。 中学三年生になり、クラスメイトたちも受験を本格的に意識するようになった。 もちろん、凛もその一人だ。 けれど高校なんて何処でも良かった。特に上を目指すつもりもない。 それでも、母親は凛を勉強へ専念させるために塾へと入れた。 『いつまでも絵ばかり描いていられるわけじゃないのよ。凛は画家にでもなるつもり?たまには、現実を見なさい。』 ――現実。 母がよく口にする言葉だ。 そして目の前に見え始めたのが高校受験という壁。 その先に待つ未来。 いつも目に見えないものは怖かった。 受験を乗り越えて…いったい何がその先に待っているんだろう。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

245人が本棚に入れています
本棚に追加