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――凛は学校の校舎同士を繋ぐ渡り廊下に居た。
すでに日は暮れかけている。
どこからか、吹奏楽部のトランペットの音色が聞こえてくる。
渡り廊下から見える中庭に一番高い木が立っている。
この階からじゃないと見えない木のてっぺん。
凛が描いているのは、その高い木にとまる一羽のカラスだった。
夕暮れ時の中庭にはいくつもの影が落ちていて、光と影がスケッチブックに白と黒で描かれている。
凛は木のてっぺんに停まるカラスを見つめていた。
真っ黒な翼
真っ黒な嘴
カラスは真っ黒で忌み嫌われた存在。
それでも、凛はカラスという鳥が好きだった。
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