1話ヒーローは傍若無人

7/13
前へ
/26ページ
次へ
『まあしかし、防壁を破壊したのは悪かったな。』 『…。』 『…。』 2人の衛兵は心底落ち込んでいる。 『まあそう落ち込むな!最初に言ったろ?獣の肉をやるからって。』 『あんまりだよ騎士様!鹿やイノシシを売った所で、修理代も出やしない!』 本気で泣きそうな衛兵にヤレヤレといった表情を見せるクレイ。 『誰が鹿なんて言った。表を見てみろ!』 『?』 衛兵達は顔を見合わせて立ち上がり、外へ歩き出す。さっきまで正座だったので、フラフラだが。 『おわっ!まさか!?』 『信じらんねー!獲物って…。グリーンドラゴン!!!?』 『どうだ貴様等!ドラゴンなら修理代位何とかなるだろう?』 『修理代どころか…。』 『余った金で一ヶ月は生活出来そうだ。本当に頂いてよろしいんで?騎士様?』 『もちろんだ。更に、壁を壊したドラゴンを君達が退治した事にしたまえ。』 『有難うございます!最初は破壊神かと思ったけど、今は聖職者に見えます!』 衛兵の熱い眼差しを受けて、気分を良くしたクレイは堂々と町へ入っていった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加