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「こんな状況に陥るのは待ち合わせ機能しかないが…まだシステムが完成していないはずなのに。どういう事だ?」
“自らが手掛けたゲーム”を見回す。
ここはゲームの世界。
夢が錯綜し、現実を捨てても許される場所。
場所は分かる。対処法も問題ない。
それならばこの世界を謳歌するのを躊躇う理由は無い。一切無い。全く無い。…事にしておく。
ごそごそという物音に顔を上げると一人の青年が起き出して周りを見回している。
逞しい体。自分より高い身長。キャラのせいだと分かっていてもやはり悔しい。
海よりも深い、夜空の空色が俺を捕えた。
目が、合った。
「…お前、誰だ…?」
低い声と共に威圧感が押し寄せてくる。
本気で怒っているのか地を這うような不機嫌な声。 ゆっくりと近付いてくるのに、体が緊張して動かない。
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