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タカシは昼間のように路地を縫うように車を走らせながらいった。
『おれの後ろがミカ。仲のいい友達。で、その友達の何だっけ。』
『ホント失礼ね。エミよ。さっきも教えたじゃない。』
ミカは笑いながら言った。
『エミです。よろしくね。』
ぼくも簡単な自己紹介をした。
駐車場に着き僕達は車から降りた。
タカシの部屋だ。
部屋の中は片付いており、部屋にはなぜかジャズが流れていた。
『消し忘れてた。』
みんな笑った。
『みんなくつろいでて。』
タカシはそういってキッチンへ行った。
ミカはちょっと目付きが鋭くパーマをかけている。
きれいで気が強い感じだ。
ショップの店員をしていて雑誌にも載っている。
エミはミカとは対照的でおとなしそうだった。
ウエイトレスだったそうだが、店長がすごく嫌だから最近やめたらしい。
世間話をしているとタカシが作ったつまみと酒を持ってきた。
タカシが入ると会話は弾み、酒も進んだ。
タカシは会話を楽しむと
『おれもう寝るから。』
そういうとミカと寝室に向かった。
僕とエミは少しの間言葉を失った。
『そう言えばさ、何で仕事辞めたの。』
僕は話を切り出した。
『店長がすごいいやらしくて辞めたの。あの人女には気持ち悪いぐらい優しくて、男にはすごく厳しいの。いつもじろじろ見てるし。
でもそれだけじゃ辞めなかったわ。私が遅番で店長と二人きりになったとき10万出すから今夜どうだって。気持ち悪いし腹が立って仕方なかったの。友達も3週間前に辞めたわ。』
『大変だったんだね。』
僕は決まり文句みたいな台詞を返した。
心の中では10万の価値について考えていた。
『ごめんね。愚痴っぽくなっちゃって。ところであなたは長期休暇中に何するの。』
エミからの突然の質問にちょっと戸惑ったが、
『とりあえずタカシに会いに東京に来たんだけど、その後は考えていない。そうだなぁ。沖縄に行きたい。』
『沖縄いいね。私も行きたい。』
そんな話で盛り上がりながら夜も更けていった。
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