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「ちょっ……ちょっと待ってよ!!」
言う事は言った……とばかりに再び画面の中に戻ろうとしている女に、慌てて僕は声をかけた……ん?
あの女、さっきから画面に頭をぶつけて何やってるんだろう……
「……れない……」
何か……呟いてる……?
何だろう……。
僕は音を立てずに、あの女の声を黙って聞く。
「……井戸に……戻れない……」
出て来た癖に入れないのかよこの女は。
「あ、あのー……」
僕は恐る恐る女に声をかける。
下手したらいきなり殺されるかもしれないから油断は出来ない。
「何よ……いきなり路頭に迷った悪霊に何の用……?」
悪霊……って、幽霊だったのか……この女。
「あ、あの……殺すってのは……」
大体、僕が何をしたって言うんだ。
いきなりビデオから出て来た女に殺される理由なんてない。
「呪いのビデオを見たからよ…………あ、そうだ……」
突然、この悪霊は何かを思いついたらしい。
まさか……僕を殺す方法、だったり……?
「死にたくないなら……一週間だけ、ここに置いてくれない? そうしたら見逃すから……」
ね? と両手を顔の前で合わせて、軽く頭を下げられた。
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