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細川と私は共通して、絵を描くのが好きだった。2人で絵を交換したり、お互いの絵を褒めあっていることが、その時はとても楽しかったのを覚えている。本当にごくごく普通の友達。私は細川を面白い友達として見ていた。
「五十嵐、私さ、バイなんだよね」
中学3年生の時、唐突に細川はそう言った。本当に何気なく、特に言い出しにくい様子もなく、サラリと。
部活の先輩が後輩からラブレターを貰ったとかそんな話は聞いた事あったけれど
まさか友達がそうだとは思わなくて、内心動揺してしまった。
けれどバイ、つまり両性愛っていうのは同性を可愛いなとか思う私にもきっとある気がして
「私も実はそうなんだよね」
と笑って言った。
「やっぱり!五十嵐もそうだと思ったんだ!」
そう言った時の細川の笑顔は今でも思い出せる。きっと、周りに仲間が欲しかったんだ。
私はその時から自分をバイセクシャルだと認識した。
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