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高校生に進学して、細川は私とは違う部活に入部。
というよりも、細川が私と入っていた部活をやめて、違う部活に入ったのだ。
「この部活に入るの、実は憧れててさ」
楽しそうに笑う細川の周りには友達もたくさん出来、後輩にも恵まれた。
いつしか彼女の話題は部活の話へ。後輩が可愛いだとか、今度の発表は感動するから見に来てとか。
彼女は絵をあまり描かなくなった。
「私そろそろ絵描くの辞めようかなー」
ぽつりと言った細川の言葉に震えた。
私と細川の繋りは絵。紙にただ絵を描いてお互い楽しむこと。
ずっとこのままの関係が続いていると思っていた。
しかし現実の関係はとても脆弱であった。
細い細い糸で繋がれた道が、プツリと途切れた。
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