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陽飛はゆっくり目を開いた。
何処までも闇が広がる。
何処だろう…。
嗚呼…俺は死んだんだったな…………。
そう思うと何故か笑みが溢れる。
やっとくだらない世界から脱け出せた…。
陽飛は歩き出す事もなくその場にずっと蹲っていた。
すると足音が突然聞こえた。
そして陽飛の前で止まる。
陽飛は腕の隙間から見える黒い靴の爪先をじっと見ていた。
「お前が綾瀬 陽飛か?」
低くきれいな若い男の声が無音の世界に響く。
陽飛はのろのろと男を見上げる。
眩しい銀髪を後ろで束ね、目も同じ色、二十代後半くらいで顔立ちもかなりいい男が、瞬くことなく陽飛を見下ろしていた。
「何か用?おっさん」
一瞬男の形の良い眉がピクっと動いたような気がしたが陽飛は見なかったことにした。
「口の悪いガキだなぁ…。まぁいい。お前にしてほしい事がある」
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