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死人、しかも魂の状態の奴になにが出来るのだろうか。
そう考えている陽飛に男は、ずいっと色褪せた紙を押し付けてきた。
陽飛は黙って紙を受けとる。
「それに血印しろ」
「はぁ?」
「いいからさっさと血印しろ。これで…」
男は陽飛の足元にナイフを投げた。
まったく唐突な話である。
紙に書かれている文字を読もうとしても、変わった文字で書かれていて読めない。
「誰が素直にこんな怪しい紙に血印するかよ」
その言葉を聞いた男は眉間にしわを寄せた。
「俺は忙しいんだ。
早く済まして別の場所へ行かなければならない」
「んな事俺には関係ないだろ。
訳を知らんもんに易々と印がおせるか」
紙とナイフを男に返し、後ろを向いた時、陽飛の親指に痛みがはしった。
そしてその親指に何か押し付けられた。
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