一郎

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『一郎!』   なんだろ?ニンゲンがなにか言ってる? 『一郎ってば!ご飯だぞ!』   『だめだよ。こいつ何回呼んでも分かってない…ばかだ』 ニンゲン――マサミはぼくのまえにすわりこむ。 『ばか。おまえなんか一郎じゃなくてばかで十分だ』 「ウ~」 いたいよ!鼻をつかむなよ!!   マサミはぼくにすぐちょっかいをだすんだ。耳をひっぱったり、ほっぺたをつねったり、シッポをもったり… やめてほしいのに、ぜんぜんわからないみたいだ。 なかなかやめないから怒ってかんだらすごく大きい声でなきわめいてうるさかった。 ゴハンはくれるけど、うっとうしいなぁ…。 『一郎のばか、ばか一郎♪やーい、ばか!』 頭をべしべしたたきながら大きい声をだすマサミがイヤで、ぼくは寝床ににげた。 『あっ。一郎~!』
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