それでも 君を食べたいから

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昇降口前に来ると喜乃の姿が見えた。 「喜乃!」 俺が呼び掛けると、喜乃は振り返り、ほっとした顔をした。 「やっと見つけた。」 そう言いながら、喜乃が近づいてきた。 「怜斗。今日誕生日だよな?」 「あ…うん。」 俺はさっきのことを思い出し、少し気まずくなりながら答える。 「プレゼントがあるから、放課後、この前葛桐先輩と会った喫茶店の、一番奥の窓際の席まで来てくれ。」 やけに細かい指定だな…。 そんなことを思いながら、俺は頷いた。 喜乃はそれを見て、満足そうに小さく微笑んだ。 ーどんな結果になろうと、伝えるだけ伝えなよ。ー 「あのさ、喜乃…」 その時、無情にも昼休みの終了のチャイムが鳴った。 帰りに言おう…。 .
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