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ある日、君に笑顔が戻った。
久し振りに見たあの笑顔。
僕の大好きな優しい笑顔。
……だけど、それが向いているのは僕じゃない……。
僕に似た誰か……。
君が大事そうに腕に抱えてる……。
君が優しそうに撫でてる……。
君が愛おしそうに笑っている……。
あぁ、僕は死んだんだ。
だから、あれは僕の代わりなんだ……。
僕の代わり……か……。
あの笑顔が、僕以外に向くなんて嫌だよ……。
あの大きくて優しい手が、僕以外を撫でるなんて嫌だよ……。
あの広くて温かい膝が、僕以外を乗せるなんて嫌だよ……。
……でも、僕は死んだんだよね?
僕はもう二度と君に触れる事が出来ない……。
僕はもう二度と君に気付かれる事は無い……。
僕にはもう何もする事が出来ない……。
……なら、君の事は僕の代わりに任せるよ……。
悔しいけどさ……。
胸が痛いけどさ……。
仕方無いんだよ……。
今の僕に……君の笑顔は取り戻せ無いんだから……。
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