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「凛」
アイツが私を呼ぶ。
「り~ん」
私はあえて無視する。
「凛ってばっ!!」
「うひぁ!!なによぉ。そんなに耳元で叫んだら鼓膜破れちゃうよぉ」
いつの間にかアイツは私の耳元にまで近付いていた。
周囲はそれを見てクスクスと笑っていた。
「……で、なんか用?」
「……なんだっけ?」
アイツは本当に忘れたような顔をする。いや、本気で忘れたんだろう。……バカだから。
「私が知るか」
「てへっ☆」
「てへっ☆……じゃねーよ!!それキモい!マジキモい!」
しっしっと手で追いやると、むうぅと頬を膨らまして一所懸命私に対する用件を思いだそうとしていた。
……いやだから男のアンタが頬膨らましても可愛くないから、むしろキモいから。
その男のアイツでアンタは、男でありながら親友。
名前は、楠木真紗(クスノキマサ)。
女の子っぽい名前でしょ?
私の名前は、安結楽凛(アユラリン)
可愛い名前でしょ?……名前だけ。
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