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アイツは私と話す。私もアイツと話す。
トモダチ、だから。
「ね、昨日のエンマの神様見た?」
「見た見た、ちょー笑えたよな!」
「そーそー、とくにキウイ」
「あー、あれな!」
アイツが背中を掻くのは、話をなんとなく合わせてる時の癖だってことわかってる。
「ね、見たなら真似出来るっしょ?」
「へ?」
「やってみてよ」
「ぇ……あ……」
私は、わざわざ話題を合わせてくれてるのをわかってて、無理難題を押しつける。
見てないなら見てないって、言えばいいのに。
「凛、その、俺、」
「見てないなら見てないって言えばいいじゃない」
「えっ???」
アイツは驚いた顔をする。
「背中。また掻いてるよ」
「あっ……あぁ~!」
「ばーか」
私に見破られるくらい、それは簡単な嘘だった。
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