奇跡②

7/8
前へ
/71ページ
次へ
あつしの家に着き、トイレの前で手を離される。 『…………部屋で待ってる………』 あつしは未だに私の目を見てくれなかった。 そんな不満を心から振り払い検査薬の説明書をしっかり読む。 尿をかけ数十秒後………… 結果は一人で見たくなかった。 素早く下着を上げあつしの部屋に向かった。 『………どうだった?』 あつしとやっと目が合った瞬間だった………… 『まだ…見てない…怖くて…一人で見れなくて……』 … 震える手であつしの前に検査薬を出した。 そして私もそれを覗き込んだ。 目に入ってきたのは……………… 『+』の記号……… 震える手が焦る気持ちに拍車がかかり乱暴に説明書を広げる。 『…………陽性…』 二人…何も話さなかった… ただ…沈黙が広がるだけだった…
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

743人が本棚に入れています
本棚に追加