奇跡⑥

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奇跡⑥

初めて見る内診室。 「下着を取ってこちらに座って下さいね~」 義務的にも聞こえる看護士の声。 心臓がバクバク音を立てながらも下着を外しスカートを捲り診察台に乗る。 「じゃあ、椅子が上がりますよ~。足をかけて下さいねぇ~」 恐る恐る足を乗せ医者の顔が見えないようにカーテンがかかっている方向へ椅子が動き上がった。 金属のカチャカチャという音とともに陰部を探られる。 冷たい感触。 何か器具を何本も入れられた。 怖くて……… 痛くて……… 涙が出そうになっていると仰向けになっている私に目が入ったのはモノクロのテレビの画像。 小さな袋があって…小さな何かがいた。 小さな何かは動かなかった。 でもそれが……… 私の………… あつしの………… 赤ちゃんだと思った。
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