奇跡⑥

2/6
前へ
/71ページ
次へ
「妊娠しとられますね~。」 淡々と話す産婦人科医はドラマのように熱血じゃない。 義務的に………… いつも診ているかのように子供が出来た喜びを分かってくれるようではなかった。 「また2週間後に来て下さい。でも…………諦めるなら早い方がいいですから………お電話してみて下さい」 諦める? 堕ろすって事? わけがわからない。 私は…産む。 そう決めた。 医者に何か言おうとした時、一緒に診察結果を聞いていたお母さんが私の肩をポンと叩いた。 「分かりました。ありがとうございました。」 そう言って私の手首を掴み深々と頭を下げ診察室を出た。 お母さん……… お母さん…………… 私……… 産みたいよ……… 赤ちゃんに会いたい………
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

743人が本棚に入れています
本棚に追加