奇跡⑥

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お金を払い、車に乗った私達はしばらくまた黙っていた。 診察室から我慢してた涙が流れる。 「………お母さ…ん…私……産み…たい…よ…… 」 お母さんは車を途中に路上で止め、私を抱きしめた。 そして一緒に泣いた。 二人で海に行き、砂浜で海を眺めた。 何も言わず……… ただ、黙って、海の香り、音、そして………空の青さを見ていた。 まるで…海に心を洗ってもらいたいかのように……… まるで…海のように心を穏やかにしたくて……… 「そろそろ帰らなきゃ……」 お母さんのその声で私は立ち車に乗った。
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