ひとつの恋の終わり

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「……帰ろ。」 あたしは、とりあえず、自分のアパートに帰ることを決め、 山のような買い物の荷物をまとめた。 ……。 軽く短期旅行分の荷物を抱え、キッチンのテーブルに置かれた鍵をとる。 「あとで、大和さんに返そう。」 そう思いながら、 玄関を出て、鍵を閉めた。 「っていうか、ここ、どこなんだろう…」 …家に帰れるかな。 あたしはキョロキョロとあたりを見回し、廊下の端にエレベーターを見つけ、そこへ向かった。 …へぇ、ここ6階なんだ。 自分の居場所さえわからないのに、一瞬でもここに住むことを考えた自分に呆れてしまう。 「…無防備だな。」 そう反省しながら、下へ降りて外に出ると、 ……!? 意外にも、目の前は大学の校舎だった。 「うちより近いしっ!」 ずいぶん遠くまで来たような気がしていたあたしは、苦笑いしながら、 歩いて帰った。 .
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