ひとつの恋の終わり

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隼人は、苦笑いを浮かべてあたしを見ていた。 「…ごめん。 ナズナに鍵渡しちゃったから、部屋入れなくって、 荷物とれないんだ。」 違う…。 あたしは、黙って隼人を見た。 …あたしが言って欲しいことは、そんな言葉じゃない。 「傷つけてごめん。」とか、 「彼女とはきちんと別れた。」とか、 「許してくれ。」とか、 何でもいいから、まだあたしとのつながりを求めてくれる言葉が欲しかったのに…。 あたしの勘違い大馬鹿野郎! あたしの中の何かが、一気にすーっとひいていくのを感じた。 彼女の存在がバレた途端、 隼人の中では、あたしはもう、 ただの浮気相手でしかなくなったってことだ。 もう、隼人は割り切ってて、 なんで、あたしが割り切れてないの? なんだか、腹立たしくさえ思えてきた。 .
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