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「…契約。」
あたしはそう繰り返した。
…それ以上でもない、それ以下でもない。
契約という形。
…よくわかんないな。
そう思っていると、大和さんが口を開いた。
「一応、契約上、
俺たちは付き合ってるってことになってるが、
俺はキミに何も求めたりしないし、
もちろん寝るときも別々だ。
…隼人のいる、あの部屋に帰りたかったら、帰っても構わない。
…どうする?」
そう言うと、あたしをじっと見つめた。
…どうする、って、
契約って言ったのに、
あたしに、選択権があるの?
あたしは、ひとまず、消去法で、答えを出した。
「…しばらく、お世話になります。」
そう言うと、大和さんは、無表情のまま、再び本に視線を落とした。
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