新しい暮らし

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あたしは、リビングをでて、 一応、これから住む自分の部屋を少しでも居心地のよいものにしようと、 部屋の片付けを始めた。 ……ここ、隼人の部屋だったんだよね? そう思い、部屋を見回す。 シンプルな机と、何も入ってない本棚、 クローゼットを開けても、あるのはハンガーだけ。 ベッドには、まだ封を切られていないシーツやカバーが置かれている。 …何の名残も、残ってない、か。 何探してんだろ…。 そう思い、一瞬惨めな気分になるが、 逆に何もなくてよかったと、ほっとした。 ベッドにシーツを張り、ふとんと枕にカバーをつける。 あたしは、ふぅーとため息をつき、横になった。 真新しい折り目が、カサカサと肌にあたるけど、 今まで安物の硬いパイプベッドに寝ていたあたしには、 スプリングの沈みゆく感覚が心地よく、 疲れもあってか、早々に瞼が落ちていった。 .
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