11780人が本棚に入れています
本棚に追加
「…間違い電話じゃないですか?」
あたしがケロッと笑って答えた。
しかし、三枝さんはブルブルっと首を振り、
「ナズナちゃんを指定して言ってるのよ!宮瀬ナズナなんて、めずらしい名前の人、そうそういないでしょ?ナズナちゃんに心辺りはないの?」
と眉間にシワを寄せて、詰め寄ってきた。
…確かにナズナなんて名前、あたしが知る限りあたししかいないけど、心辺りといっても思い浮かばない。
しばらく考えていたが、店内が賑やかになり、レジにお客さんが並び始めたので、あたしは三枝さんを促し、
「いや、ないです。間違いですよっ!」
と、笑って、
もうひとつのレジを開け、「お待ちのお客様、こちらへどうぞー。」とレジを打ち始めた。
三枝さんは納得いかないように、「じゃあストーカーかしら…」なんて呟いていたけど、次第に店は混み合ってきて、忙しくなり、考える間もなくなった。
.
最初のコメントを投稿しよう!