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隼人は、何か言いたそうに口をモゴモゴさせていたが、
あたしは、キッと睨みつけ、
手を差し出した。
「鍵。」
「…あ。」
あたしの有無を言わさぬ態度に、ハッとしたように、
隼人はジーンズのポケットをまざくり、キーケースを取り出した。
あたしは黙ったまま、手を差し出していた。
隼人はその様子と、みんなの視線に観念したのか、ためらいがちに鍵をひとつ取り外すと、
そっとあたしの手のひらに乗せた。
……!
その瞬間、何かが胸に突き刺さるような痛みを覚えたけど、
あたしは無表情でそれを受け取り、
「…荷物は部屋の外の廊下に出しておきます。」
そう言い残して、部屋を出た。
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