見上げれば

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今日の夜空はビリジアン。 あ、濃い緑のことだよ 三日月の器に、星が今にものっかりそうな位置。 「まだ夜になるのはやいな」 月に見とれながら、呟いた私。 「まぁ、この時期の夜はちょうどいい涼しさだから」 となりにいた皐は言った。 「お前は暑がりだからね」 高校2年の春、予備校の帰り。 歩いて家が近いところだから、私はいつも皐と帰っている。 皐とは、高校以来の友達。 一番仲がいいかもしれない。 「すぐに夏が来るね」 早く夏にならないかな・・・・・・。 春は好きだけど、夏の方がいい。 「あ、・・・・・・あれタケヒロじゃない?」 「え・・・・・・」 前を向くと、大和と歩いてるタケヒロを発見した。 高鳴る鼓動を押さえられず、私は歩く速度を遅めた。 「ちょ、梨?」 あ、変なタイミングだけど自己紹介。 私の名前は田中梨央。 なぜか、梨(なし)ってよばれてる・・・・・ 関係あるの字だけじゃん! で、こいつの名前は上原皐。
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