『やきもきヤキモチ』(傲慢ダーリン番外編)

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『塾の申し込みしといたから』 お母さんから突然言われたのは今から1週間ちょっと前の事。 大学受験は一応すると私が伝えてから、すぐに手続きに行ったらしい。未だに現役バリバリで働くアクティブな私のお母さん。 その行動力に驚いたのは久しぶりだった。 独学で勉強して受かる訳がない私の頭を心配してやってくれたらしいのだけど、週に4日夜の10時まで授業があるのはいかがなものでしょうか? 春休みはしっかり遊びほうけた私には尚更辛かった。 「ふわぁ」 慣れない睡眠不足から人目も気にせずに大あくびを1つすると、隣からは呆れた声が聞こえてきた。 声の主は、3年生になっても同じクラスになれた私の親友。 「あんた。全く色気の無いあくびしないの」 「しょうがないじゃん。眠いんだもん」 そもそも、色気のあるあくびってどんなやつか聞いてみたいよ。舞さん。 「昨日も塾だったの?」 「うん。昨日は英語の日。10時までとかしんどすぎだよ…。いつも延びるし」 「まぁ結構ハードな塾だと思うけど、由香里の場合塾から帰ったあと自分で勉強なんかしないでしょ?」 「え!?当たり前!塾で勉強してるのにあり得ない!」 「やっぱり。それを考えたら、由香里のお母さんは良い判断をしたわね。 だって、塾なら強制的に10時まで机に座らなきゃいけないわけだし」 机に頬杖をついている舞の片隅には英単語帳。 どれだけ勉強好きなの?
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