『やきもきヤキモチ』(傲慢ダーリン番外編)

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文系クラスの私達は、ほとんどの曜日が午後からしか授業がない。今日も3限から6限までだ。 そんな中、隼人が姿を現したのは結局最後の6時間目だけだった。 自分の席で友達と談笑している隼人の姿。 よし。 途中までだけど、一緒に帰ろうって言おう。 そう決意してカバンを肩にかけて席を立ち上がると、タイミングよく振り返った隼人と目が合った。 一瞬で全身に力が入る。 「おー由香里。おはよ!っつってももう帰りか」 ケラケラ笑いながら隼人がこちらに歩いてくる。 「何?帰んの?」 「え、うん」 「そっか。気をつけてな」 「…え」 頭を2回ほど撫でた後、隼人はそのまま私を通りすぎていく。 教室のドア付近に立っていた他クラスの女の子に声をかけると、そのまま教室を後にした。 何?今の…。 誘おうと思っていた私は、呆然とその背中を見送る事しか出来ない。
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