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「委員会よ。委員会」
「へ?」
いつの間にか隣に立っていた舞が、私の肩に手を置いて諭すようにそう言った。その視線はさっき隼人が出ていった方へ向いている。
「学祭委員。大学受験しない隼人くんが引き受けてくれたじゃない」
あ。そうだ。
受験前の行事である学園祭。
3年生も参加しなきゃいけないけれど、みんな受験だからって委員をやりたがらなかったんだっけ。
「あの女の子は委員長。今日1回目の集まりがあるんだってさ」
舞の言葉に自然と力が抜けていく。
心に立ち込めそうになった暗雲がサーッと消えていった。
「ねぇ。なんでわかったの?
私が気にしてるって事」
「ふふ。君はね、顔に全部出てんのよ」
「え?まじ?」
「まじ。もう羨ましいくらいにわかりやすく」
恥ずかしい。
だけど、舞には私の気持ちに気づいてもらえてよかった。だってそうじゃなきゃ、なんか変な誤解して不安になってたかもしれないから。
「さ。隼人くんの代わりなんて言わないけど、あたしで良ければ一緒に帰ってあげるわよ?」
ウィンクをしながら得意気にそう言う舞に、私は小さく笑って頷いた。
「ありがと、舞」
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