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「つ、疲れた…」
全ての授業を終えて、ただ今の時刻は9:40。
昨日よりも終了時間は早いにもかかわらず、昨日の何倍もの疲労感を肩に背負いながら出口の扉に手をかけた。
日本史の小テスト、その後の英語の単語テストが散々な出来だった事が少なからず影響しているのかもしれない。
勉強せずにテストだけ受けているような私にとって、小テストが意味のある物には到底思えなかった。
だったら勉強しろよ、って話だけど、それが私に出来る事ならば、こんなに頭が悪くなっているはずはないわけで…。
一瞬ネガティブモードに入りかけたけれど、こんな事を考えていても意味がないと思い直し、星が瞬く夜空を見上げた。
まだほんの少し肌寒さの残る春の夜…。
「ねえ。…ねえってば」
背後から聞こえた声にはっとして、振り返る。
「ごめん。名前聞き忘れてたからこんな呼び止め方しか出来なかった」
そう言って苦笑いを浮かべたのは数時間前に出会ったばかりの男の子だった。
「もう遅いし、良かったら一緒に帰らない?」
「あ、うん」
断る理由もないし、1人で帰るのは心細いという気持ちもあり、私は肯定の返事を返した。
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