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「なんか食ってく?
俺家帰ってもなんにもないと思うんだよね」
それはおそらく私も同じ。うちの親はいまだに帰っていない可能性が高いから。
かと言ってこのままベッドに入って眠れるかって言ったらそれは無理な話だ。お腹空いたまま寝るなんて無理。
「…そうだね。なんかちょっと食べようか」
私が同意すると、茂人くんは辺りを見回した。
駅前に近づいて、飲食店が建ち並ぶ通りにさしかかる。
キラキラした町並みは、夜になって益々勢いを増していくようだった。
「何にする?…あ、マックとかあるけど」
「マックいいね!そうしよ」
小腹が空いた時には調度いい選択。
真横のビルの3階にあるそこを目指して、建物の入り口に手をかけた茂人くんに続いて中に入った。
「どうだった?今日の小テスト」
茂人くんの言葉にハンバーガーにかぶり付きかけていた口が、開いたまま情けない状態で止まる。
「……最悪」
その4文字を渋々伝えると、茂人くんは「俺もあんまり」と呟いた。
きっと私の【できない】と彼の言う【できない】は天と地ほどの差があるんだろうけど、1人で落ち込むよりも幾分か楽になるから不思議だ。
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