『やきもきヤキモチ』(傲慢ダーリン番外編)

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「最近は英語ばっかりやってて、日本史疎かにしてたのがまずかったな」 ポテトを一摘まみ口に入れて苦笑いを浮かべる茂人くんを横目で見つめながら心の中でため息をつく。 『日本史は疎か』どころか、全ての教科を『疎か』にしている私。 苦笑いを浮かべている自分より遥かに優秀な優等生を目の前にして、果たして私が受験生を名乗ってもいいのかという痛い言葉が小さな胸を貫いた。 「私、全部の教科得意じゃないんだけど、中でも英語が1番苦手なんだよね…。 茂人くんは英語どんな勉強してる?」 「英語かー。 単語や熟語覚えるのは勿論だけど、俺は志望校の赤本を解きまくってるよ。それが1番の長文の勉強になると思って」 「あ、赤本…」 志望校すら決まっていない私には、赤本なんてまだ手の届かない代物だ。 なら、せめて。 単語や熟語の勉強くらいは、茂人くんを参考に出来るのではないかと思い直す。 「単語帳って、何使ってるのかなぁ?」 「あー。単語帳?これだよ。 これは量も同意語とかもカバーしてるから結構オススメ。ちょっと高めだけど」 机に出してくれたそれを手にとってペラペラと中を見ると、まだ4月だというのにとても使い込んでいて、マーカーなどの印もたくさん目についた。 これが優等生か。 思わずため息にも似た感嘆の声が漏れた。
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