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さっさと歩き始めてしまった銀牙を後から追う二人。
暫く進むと奥の方から妖しい光が見えてきた。
おそらく妖刀が発するものだろう。
三人は細心の注意を払いながら光の方へ近付いた。
「うわ…嫌な感じがする…」
「そうですね…全身に絡み付いてくる感じがします」
「さっさと終らせて帰るか…白夜の淹れた茶が飲みてぇな」
「そうですね」
「俺羊羹付がいいなぁ」
「夜は食うなって言ってるだろうが……それより、二人ともテメェと同じ属性の刀がどれだかわかるな?」
「はい」
「うん」
「じゃあ頂くとするか」
そう言うと銀牙は一番近くにあった刀に手を掛ける。
その刀は白く光っていた。
銀牙が刀を掴んだ瞬間刀から白い稲妻が放出された。
稲妻が銀牙の体に無数の傷を付けていく。
黄牙と青牙が銀牙を助けようとした瞬間、銀牙の体から其れを上回る稲妻が発せられた。
「テメェの主はこの俺だ!!俺に従え……『白雷(はくらい)』!!!」
『白雷』それがこの刀の名前なのか、銀牙が叫ぶと今までの稲妻が嘘の様に消え、あの禍々しい気も無くなっていた。
これが妖刀を手に入れると言う事なのだろう。
黄牙と青牙は改めてその大変さと父の偉大さを実感した。
残る妖刀はあと2本。
「次は…私が行きます」
意を決して青牙は青白く光る刀を手に取った。
すると今度は刀を掴んだ手から一瞬にして青牙が凍り付いてしまった。
思わず駆け寄ろうとする黄牙を抑え付け銀牙は静かにその様子を見守った。
「……………わ…私が貴方の主です!『氷雨(ひさめ)』!!!」
そう声が聞こえたかと思うと青牙を覆っていた氷が一気に砕け、肩で息をする青牙が現れた。
氷雨の気が完全に治まるのを見届けると青牙はその場に倒れこんだ。
すぐさま青牙に駆け寄る黄牙。
どうやら気を使い果たした為に眠っているだけのようだ。
黄牙はホッと胸を撫で下ろすと青牙を銀牙に任せ最後の一本を取りに行った。
「青が頑張ったんだ…俺も頑張らなきゃ」
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