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「…なんだこりゃ」
「何って、恋文ですよ恋文!」
キャッと言いながら両頬を抑える張コウ。
それに対して夏侯淵は少し機嫌が悪そうに「そうかよ」と言った。
「…夏侯淵殿?どうかなさったのですか?」
「なんでもねぇよ…ほらよ!恋文なんて貰えて良かったな!!!」
「えっ…夏侯淵殿!?」
「んだよ!!!」
「っ…」
「ぁ…悪い…」
思わず怒鳴ってしまった為傷付いた表情を見せる張コウに詫びを入れる夏侯淵。
すると張コウはにっこりと笑った。
「ヤキモチ…ですか?」
「バッ…そんなんじゃねぇよ!!」
「フフフ」
「わ、笑うな!!」
みるみる顔が赤くなっていく夏侯淵に益々笑みを深める張コウ。
罰が悪くなったのか、夏侯淵が後ろを向くと、張コウは突然抱き着いた。
「フフフ、ヤキモチを妬いて下さるなんて…有難うございます」
「だから!」
ヤキモチなんか妬いてない。そう言おうとした口は張コウのそれによって塞がれてしまった。
「…夏侯淵殿、あの書簡は私から夏侯淵殿へ贈られた物ですよ」
「……」
顔を真っ赤にして放心する夏侯淵。
張コウが顔の前で手を振っても、何度呼び掛けても反応を示さない夏侯淵に張コウは首を傾げた。
そして、今度は正面から夏侯淵をキツク抱きしめた。
「…っおっおい!!」
漸く意識がはっきりしたのか張コウの腕の中で慌てる夏侯淵。
しかし張コウはそんな夏侯淵の肩に頭を乗せると囁くように語りだした。
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