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「夏侯淵殿…愛しています…貴方が私に『愛する』と言う光をくれました…そして愛される喜びもくれました…」
「張コウ…」
「貴方が私の世界に華を添えてくれました…貴方が居たから、私の世界は美しく輝き始めました…貴方が居たから…貴方に逢えたから…私はこんなにも幸せになれました」
其処まで言うと張コウは再び夏侯淵に口付けをした。
「夏侯淵殿…愛しています…この書簡…受け取って頂けますか?」
「わ、わかったよ」
「有難うございます」
夏侯淵が恥ずかしそうに、でも何処か嬉しそうに答えると張コウは突然涙を流した。
「お、おい!!どうしたんだ!?」
「え…ぁ…ど、どうしたんでしょうね…アレ…止まらないですね」
「…泣くなよ…な?」
「ス、スイマセン…」
拭っても拭っても溢れ出る涙に戸惑う二人。
悲しい訳無いのに流れる涙。
張コウは「これが嬉し涙というやつなのでしょうね」とおどけて見せたが、夏侯淵は心配そうに見つめていた。
漸く涙が止まりかけた時、夏侯淵が不意に張コウの顔に手を伸ばした。
「落ち着いたか?」
そう問い掛ける笑顔が余りにも眩しくて再び涙が出そうになった。
「夏侯淵殿…もう一度抱きしめても宜しいですか?」
「お、おう」
「では、もう一度…口付けしても宜しいでしょうか?」
「んなこと…一々聞くなよ…」
「スイマセン…有難うございます…夏侯淵殿…愛しています」
そして張コウはそっと口付けを交わすと夏侯淵を包み込んだ。
「お、俺も…その…なんだ…あ、愛…してるぜ…」
顔を真っ赤にして呟く夏侯淵に張コウは腕の力を込めて応えた。
美しき貴方へ
貴方は私の全てです。
これからもずっと私の側に居てください…。
ずっと私を側に置いて下さい。
ずっと…いつまでも…
一緒に居てください
愛しています
-END-
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