13の月

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俺の名はヴィレス・アレイン 俺は今、旅をしている。 旅と言っても、ある範囲からは出ない。 出ないと言うより、出られないのだ。 出られるはずがない。 そこには、大きな壁がそびえているのだから…… この国を囲む程、大きな壁が…… 「よし、誰も居ないな。」 俺は廃屋から出て、周りを警戒しつつ人気の無い道を歩いて行く。 「まったく…本当勘弁して欲しいわ……毎年13月に成るとこれだもんな……」 俺が住んでいるこの世界「ラクマリ」は、1週9日で、1ヶ月は4週、1年は13ヶ月だ。 季節は四つで、1月から4月が春。 5月から8月が風(春と夏の中間のような気候)。 9月から12月が冬。 そして13月が星(一年でもっとも星が見え、命が芽吹き始める月)となる。 更に、月によって見える月の数が変わる。 1~4月の間は月が一つ、5~8月の間は月が二つ、9~12月の間が三つだ。 そして、13月に成ると、月が四つになる。 しかし、それぞれの月は常に満ち欠けしているので、全部揃うことはあまり無い。 全部揃うところを見れるとすれば、月の始めか終わりだ。 そして、俺は13月が終わるまで旅を続けなければならない…… 何故なら―― ブンッ!! 「うわっと!!」
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