第一章 幼少期:牛若丸の激闘②

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カラス天狗は百獣擬態の秘密をつかんだようだ… 『最強の2匹ねぇ…』 カラス天狗は笑みを浮かべて話を続けた。 『じゃあ次はオレを殺せるかもなぁ…もう一度呼んでみろよ! 呼べないんだろ?観念してその綺麗なネックレスをよこしな。』 カラス天狗は伊勢に向かって飛んでいく… そう“百獣擬態”とは命石(めいせき)と呼ばれる石に魂を込めたり魂をひょういさせる石を利用した奥義である。 だから、一度ひょういさせた魂が殺されれば石に魂が帰って来ないため ひょういすることはできない。 『カラス天狗…もう終わりだ。』 すると伊勢のからだはみるみる変わっていく… その姿まるで… ぬえ!!! “ぬえ”とは頭には猿を持ち腕には虎が住み蛇の尻尾が生えている妖怪である。 そのちからぬらりひょんにも匹敵するであろう… 『お前はやってはならないことをした…カラス天狗!!! 同族同士の殺生は処刑に値する。』 伊勢…いやその妖怪は言った 『妖怪将軍…ぬえ…様… で…ですが私が殺したのは人間でございます。』 カラス天狗は恐怖感でいっぱいであった… 『いや…お前が殺したのは霧天狗である。 人間の姿を借りていたのは未知の伝染病のためである。 私がいたのもそのためだ。私がいたにもかかわらず犠牲がでてしまったがな… 無駄話もここまでにしてそろそろ処刑を行なう!!』 ぬえは天高く手をあげた 『まっ…待ってください!! もう一度チャンスを…チャンスを下さい!!!』 カラス天狗は焦って命乞いをする。 {ズバシャァァ!!!} カラス天狗の命乞いもむなしく鮮血が地を這った… 『義経様…あなたは世界の神となるであろう。これからも修行を怠ってはならん。 あなたが死ぬことは世界が終わることを意味する… 決して死んではならん。そして死なぬよう気をつけなさい。』 そう言い残してぬえは空高く舞っていった。
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