第二章:gossip

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中世のある森…日が落ちて数時間、辺りは漆黒の闇に包まれ人の足音も吐息も響かない。   生き物は安息の眠りにつき体の疲れをリセットする為の闇の時間なのである。   しかし、ある場所はその説明では片付かない深い闇が辺りを包んでいる。   それは視覚的なモノではなく直感的な意味での闇…だから何の気無しにやり過ごせば気付かない者も多い。   が、一度気付けば飲み込まれてしまうような、それはそれは深い闇…。   そんな闇の中に佇む街並みは意外にも少し古風な街なだけで後は特に変わった様子は無い、人がいない事とある一点を除いて。   そのひっそりとした街の奥に、そびえ建っているソレ。   絵に描かれた様な立派な屋敷が独特の威圧感に似た気迫を放っている、その姿はまるでその土地を支配している貴族の如く堂々と居座っている様だ。   だが、その姿に気品は無く庭は荒れ、屋敷の壁は塗装が所々剥がれ壁の下地が顔を晒している。   そして極端に古く、街よりも古いものに見える。   勿論、例により人の気配は無く、言い様の無い闇だけがそこにはあった。   月明かりに照らされるその館には不気味の字程合う言葉は無いと言っても過言では無いだろう…。   ある日も、その明くる日も、街に変化が訪れる事はなかった。   すっかり寂れた街と館を静寂と闇が包み込み、ただ月が冷たくその様子を照らしているだけ…。   寂しく冷たい時間だけがここには存在していた。
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