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「それにしても…さっきの話嘘…だよね??本当ならすっごく怖いよぉ」
話を再開すると真っ先にローザが口を開いた。
ローザは落ち着きを取り戻したは良いがまだ少し恐怖を拭いきれない様子で目を潤ませている。
そんなローザを気遣いケティは嘘に決まってると言って笑った。
普段ならそこでクリスがおどけてみせて場の空気が楽しいものになる。
今回も例外では無い、誰もがそう思っていた。
しかし、クリスはおどける気配が無い。
それどころか似使わしくない神妙な面持ちで少しうつ向いた。
5人に異様な緊張が走る。
普段は騒がしいだけが取り柄なクリスが滅多に見せない表情なだけに6人の間には奇妙な空気が漂い、その空気はただただ不気味としか言い様がなかった。
「確かに嘘っぽいって最初思った…けど」
そこまで言うとクリスは唇を噛んだ。
喉元まで言葉が出掛っているのだろう、微かに表情が曇っている。
しかし一向に話そうとしない、それはほんの少しの間、だがその場にいる全員が長い時間を過ごしているような気がしていた。
この緊張感が何を示しているのかはわからない…それが余計に各々の気持ちを焦らせ、全員が言い様の無い恐怖に身をこわばらせ微動だに出来ずにいる。
重々しい沈黙が6人の間に流れた。
バンッ!!!
沈黙を切り裂くように突然ケティがテーブルを叩いた。
誰かではなくその場にいた全員が驚いていた。
ケティはそんな彼等に構わず凄い剣幕でいて、何かがふっきれたようにクリスに掴みかかりそうな勢いで怒鳴った。
「クリス、冗談もいい加減にしなさい!お得意の噂話を大袈裟に話したいんでしょうけどもうウンザリよ!少しは聞く側の気持ちを考えなさい!!!」
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