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そうに呟いた彼の声は震えて微かに涙ぐんでいた。
だが、その言い方には彼の素直な気持ちが託されているのを5人は感じとった。
わざわざ一番大事な仲間に嫌な話をしたのは本当に信頼しているからこそ、話したのである。
彼の話に嘘偽りが無い事、そして何よりクリスの心中を全員が理解した。
「話はまだ終わって無いんだ…だから、皆、聞いてくれないかな…?」
本当に辛そうに、だが真っ直ぐな瞳でいつになく力強い口調でクリスは言った。
しかしこの申し出にケティや拓海は苦虫を潰したような顔をした。
現にアリスは未だうつ向き、ローザは震えている…いくら理解したとは言え嫌なものに変わりは無いのである。
クリスはそれを察してか目に涙を浮かべたまま二人を見、全員を見た。
クリスは悔し涙をのみ駄目かと諦め口を開こうとした、その時だった。
「…わかった。聞くよ」
凛とした声が響いた。
一同が声の主へと驚いたまま視線を向ける、何故と言う感情が何を思うで無く各々の頭を廻る。
声の主は…アリスだった。
「ア、アリス?大丈夫なの…?」
「うん、心配かけてごめんねケティ。私は大丈夫だよ、ローザも聞きたいからさっき一番に話を再開したんだよ、ね?」
「え、えへへ…♪バレちゃってたんだあ」
心配そうにアリスを見つめるケティにアリスは柔らかく微笑んでみせ、話しながらローザに視線を向け微笑んだ。
ローザは返事をしながら舌を出して悪戯に笑った。
「怖いけど…そう言うの気になるもん。あ、もしかして…クリスあんまり怖い話してくれなかったのって私達に気を使ってたのー??」
可愛らしく微笑みながら話すローザにクリスは何度も頷いた。
するとアリスもローザも気を使い過ぎだと笑った。
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