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「失礼な。女だったら告白出来たのに」
女だったら
女だったら
女だったら
「メイが羨ましい」
「…叩いてごめんなさい」
「いいよ。もう痛くないし。……泣くなよ」
「っふ…く…だっ、て…だって…カインが…」
「俺が何」
「カインが……っ頑張ってるの…私…知らなかっ…」
「知らなくて当たり前だっつの。言わなかったんだし。泣くなよ…」
「好きなのにっ…それも言えないなんて…」
「いいんだ。俺の恋はこれで」
いいんだよ
これで。
嫌われたくない
なら親友のままで
ずっとそばに。
「お前がフられてホッとしたのもあるしな」
誰にも取られたくない
でも俺のじゃない
この思いは行き場所を無くして
ずっと彷徨うんだ
禁忌の罪のように。
「さて。帰るかな、俺は。お前はどうする?」
「…帰るわ…」
「外でフィールが待ってるし」
「残酷なぐらい…カインの日常は変わらないのね」
「変わらないよ、ずっと」
俺がフィールを嫌うまでずっと
「じゃあな、また明日」
「また、明日…」
†††††††
私の世界が変わった
私では見えなかった世界
カインが苦しんでいる世界
私とカインは同じだけれど
カタチが違う
カインの恋が実る事は
あるのかな
あるのかな
カインが教室から出て言っても
私は泣く事しか出来なかった
カインのぶんも。
END
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