入隊

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オレは父親に売られた。 おそらくたいした金にはならなかっただろう。 父親とは血がつながってない。 だから別に恨んだりもしていない。 むしろ感謝している。 オレの本当の両親は国の内紛で2人とも死んでいて、近所に住んでいた伯父に引き取ってもらい、父親の代わりとして10才まで育ててもらっていたのだ。 自身を売られてすぐに、輸送トラックに乗せられた。 トラックの荷台にはオレと同じぐらいの年齢の人が4人いて、全員沈黙していた。いや武器を持つ兵士に喋ることを許されなかったのだろう。 武器を持つ兵士はとても脅威的だった。迷彩服をまとい、銃を持っていることは確かに威圧的だったが、なにしろ俺はこの兵士の目がとても恐かった。 4時間ぐらいトラックに乗っていただろうか… 最初4人だったトラックの中にいる子供の数が11人になった。 年齢は8才ぐらいのから16才ぐらいのまでに見える。 年齢は違えどまだ顔に幼さを残していた。 全員が子供ということは変わりはなかった。 10才のオレではたまに見える外の景色を見ても場所がわからない。いったいどこに連れていかれるのかわからない。 不安を徐々に積もっていった。
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