5697人が本棚に入れています
本棚に追加
「え……えぇぇっ!?」
本日二度目の近所迷惑だ。
そろそろ隣から苦情がきてもおかしくないだろう。
でも、今はそれどころではない。
落ち着いたところで、さっきの話を詳しく聞く事にした。
よく考えれば、コレほどのチャンスは後にも先にもこれだけだろう。
まぁ、最悪また電話すればいいだけだが。
さて、気を取り直して質問だ。
「取り敢えず、帰り方を教えてくれないかな?」
『体に強い衝撃を与えれば元の時代に戻れるわよ』
あの考え、間違ってなかったみたいだな。
『でも、条件があるの』
母さんは続けてそう言った。
「条件?」
『タイムスリップしてしまったのは、何かその時代に行きたかった理由があるはずなの。その理由を調べて解消したあとに、さっき言った強い衝撃を与えればいいの。
簡単でしょ?
あ、痛みはないから安心なさい』
フフン、と母さんは鼻を鳴らした。
何を基準に簡単と言ってるんだ、あの人は。
『ちなみに私は、好きだった先生の高校時代に行ったわ~。チャンスだと思って告白したあと、屋上から落ちて元の時代にもどったの』
あっさりと話して来た。
しかも、悩むどころかチャンスだと思うところがあの人の凄いところだ。
でも、あの位の考え方じゃなきゃ、今の仕事はやってけないんだろうな。
「さいですか。で、告白は成功したの?」
『ううん、ダメだったわよ』
ホントに残念そうに言った。
親父……かわいそうに。
「まぁ、だろうね。じゃあ、成功失敗は関係ないんだな……」
『あ、一ついい事教えてあげるわ』
「いいこと?」
最初のコメントを投稿しよう!