遭遇

11/13
前へ
/210ページ
次へ
「え……えぇぇっ!?」   本日二度目の近所迷惑だ。 そろそろ隣から苦情がきてもおかしくないだろう。   でも、今はそれどころではない。   落ち着いたところで、さっきの話を詳しく聞く事にした。 よく考えれば、コレほどのチャンスは後にも先にもこれだけだろう。 まぁ、最悪また電話すればいいだけだが。   さて、気を取り直して質問だ。   「取り敢えず、帰り方を教えてくれないかな?」   『体に強い衝撃を与えれば元の時代に戻れるわよ』   あの考え、間違ってなかったみたいだな。   『でも、条件があるの』   母さんは続けてそう言った。   「条件?」   『タイムスリップしてしまったのは、何かその時代に行きたかった理由があるはずなの。その理由を調べて解消したあとに、さっき言った強い衝撃を与えればいいの。 簡単でしょ? あ、痛みはないから安心なさい』   フフン、と母さんは鼻を鳴らした。   何を基準に簡単と言ってるんだ、あの人は。    『ちなみに私は、好きだった先生の高校時代に行ったわ~。チャンスだと思って告白したあと、屋上から落ちて元の時代にもどったの』   あっさりと話して来た。 しかも、悩むどころかチャンスだと思うところがあの人の凄いところだ。 でも、あの位の考え方じゃなきゃ、今の仕事はやってけないんだろうな。   「さいですか。で、告白は成功したの?」   『ううん、ダメだったわよ』   ホントに残念そうに言った。 親父……かわいそうに。   「まぁ、だろうね。じゃあ、成功失敗は関係ないんだな……」   『あ、一ついい事教えてあげるわ』   「いいこと?」
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5697人が本棚に入れています
本棚に追加