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「靴が……」
足元をみると、明らかに若者の、女の子の靴がちょこんと揃えてあった。
「泥棒……なら靴脱がないし、母さん?なわきゃねーな……とすると、誰?」
途端、アハハ、と居間から笑い声がした。
声を聞いた感じ、同年代の子と思われる。
とにかく、俺は声の主が知りたいという衝動に駆られて居間に向かった。
キィ……と、ドアを少し開いて中を覗き見る。
そこには、案の定女の子が居た。
髪は二つに結ってあるが、結構長そうだ。
横顔しか見えないが、顔立ちは整っており、どことなくだが、自分に似ている気がした。
「……母さんの隠し子か?」
思ってはみたが、そんなわけもなく、ただ俺はその子を見つめていた。
純粋にかわいいと思う。
人の家に勝手にあがりこんでいるのを除けば……。
……というか、いつまでも得体のしれない奴を家に入れておく訳にもいかない。
俺は意を決して部屋に踏み込んだ。
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