5697人が本棚に入れています
本棚に追加
「君、誰?」
入ってすぐに俺は尋ねた。
言った途端、彼女は、驚いた様子でゆっくりこちらを向いた。
そして、何か思い付いたような顔で
「もしかして、神足って名字だったりする?」
と言った。
いきなりの事で戸惑ったが、咄嗟に
「……そうだけど?」
と答えた。
すると、彼女は途端に輝いた表情になった。
「!……じゃあ名前は純だよね!?」
俺はもちろん驚いた。
いきなり現れた女の子に名字も名前も当てられるなんて。
しかも神足なんて名字はあんま居ないと思うんだがな。
そこで、俺にある考えが浮かんだ。
この子、エスパーだな!?
だとすれば、鍵が開いていない家に入れたのもわかる。
うん、俺って天才!
「私はエスパーじゃないからね」
彼女は怪訝そうな顔でそう言った。
まさか、心を読まれた?
てことは、絶対エスパーだ!
ありえないぞ、いきなりエスパーが家に居るなんて。
だとすると何が目的だ?
洗脳か?洗脳が目的か!?
「あのー、だから私はエスパーなんかじゃ……」
不思議半分、呆れ半分で彼女は呟いた。
そうやって安心させて隙ができたところをビビビッと……。
「するわけないでしょ!大体にしてさっきから心の声が漏れてんのよ!」
とうとう彼女の限界がきたようだ。
近所迷惑に成り兼ねないほどの大声だった。
「……さいですか」
どうやらエスパーではないようだ。がっかり。
疑惑が晴れたところで、今度は疑問が生まれた。
何故彼女がここに居るのか、だ。
最初のコメントを投稿しよう!