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取り敢えず俺は名前を聞くことにした。
「君、名前は?」
「香純(かすみ)よ」
今更か、という顔をしながら香純は答えた。
「できれば名字も……」
「神足」
「へ?」
「神足、あなたと同じ名字よ」
「え、マジか!いやー偶然ってあるんだねー」
ハハハと笑いながら頭をかく。
「……偶然じゃなかったりするね、実は」
香純は、鼻の頭をかきながら呟いた。
意味がよくわからないんですが。
偶然じゃないって?
「それはどーいう意味で?」
俺は不思議だという感じで尋ねた。
すると、香純はうーんと、少し考えてからこう言った。
「例えば……あなたと私が"血縁関係"だとしたら?」
「!!」
ビビっときた。
まさか……生き別れの妹!?
だとしたら顔立ちが似てるのも頷ける。
しっかし、いつのまに。
「失礼だけど、歳いくつ?」
「16よ」
生き別れの双子でした。
本当にありがとうございました。
俺はポン、と香純の肩に手を乗せ
「長かったな。でも大丈夫だ!これからはずっと一緒だぞ!」
と、最高の笑顔で言った。
いきなりの事に驚いていた香純だったが、俺が話した内容を理解すると、呆れた様子で、「生き別れた兄妹っていう設定にしたでしょ?」
と言った。
「え、違うの?」
俺が間抜けな声で尋ねると、香純は即座に、「違う!」と叫んだ。
「じゃあ何なんだ!?」
俺は痺れを切らしてそう聞いた。
「…………よ」
「え?」
何を言っているか聞き取れなかったため、もう一度尋ねた。
「あなたの“ムスメ”よ」
「え、あ、どうりで……って!ええぇぇーっ!?」
この俺の叫び声が一番の近所迷惑だったのは言うまでもなかった。
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