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香純が車に轢かれなければない。
そういう事になるが、本当にそうなのか確証がないので、それは危険な賭けだと言える。
例えそうだとしても、何か条件が必要かもしれない。
もし、命を落としてしまったら……。
これは駄目そうだな。
「まだ確かじゃないから実行すべきじゃないね。
万が一のことがあったら……ね」
香純は心もち安心した様子で、「うん」と頷いた。
どうしたらいいのか。
取り敢えず、車に轢かれるという事は確実だ。
しかし、ホントにそれだけなのか。
悩んでも悩んでも答えはでない。
香純は、そんな俺の様子を見て、「大丈夫?」と心配してくれた。
なんとしても香純を元の時代に戻してやりたい。
だが、今の状態じゃどうすることもできない。
「一体どうすれば……」
ふと、母さんの言葉が甦った。
《困った事があったら連絡しなさいよ?》
俺は子機を手に取り、ダメもとで電話を掛けてみることにした。
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