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離そうとした手を、ぐっと握られ、
あたしは驚いて朝陽を見る。
……
少し寂しそうな、切なそうな顔がゆっくり近づいてくる。
……!!?
心臓がバクバクとすごい勢いで暴れ、思わず体がビクッと震えた。
それに気づき、ハッと朝陽が我に返ったように、体を戻した。
「ごめん!
…じゃあ、また、連絡するから。」
と、ゆっくり手を離す。
「…うん。」
あたしは頷いて、車を降りた。
しばしの沈黙。
「…ほら、風邪ひいちゃうから、家入って。」
朝陽にそう促されて、あたしはようやく足を進めた。
寂しくて、切ないこの気持ち…。
あたしは振り払うように、笑顔を作って、
「今日はありがとう!またね!」
と、朝陽に手を振り、家に駆け込んだ。
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